自賠責保険と任意保険

交通事故の損害賠償

■損害賠償の対象として考えられる項目は、どのような交通事故かによって変わってきます。

交通事故には、死傷者がある場合の「人身事故」(「傷害事故」と「死亡事故」があります)、死傷者がなく物が損壊しただけの「物損事故」があり、傷害事故については特に後遺障害が残った場合の賠償も考慮されています。

・財産的損害のうち、「積極損害」とは交通事故によって出費を余儀なくされたもの、「消極損害」とは事故がなければ得たであろう利益を言います。

・物損事故には、原則、慰謝料はつきません。自賠責保険も原則、適用されません。

・交通事故では、被害者側にも若干の過失があるケースがほとんどです。過失の割合に応じて損害賠償は減額されます。

■損害賠償の金額

交通事故の賠償額は、定型・定額化されていて、一応の目安がつくようになっています。

これは主に被害者の平等を図るためで、大量に発生する交通事故の賠償事務がすみやかに処理できるようになっています。

■損害賠償請求権の時効は三年

被害者が加害者に損害賠償を請求できる権利には時効があり、「損害および加害者を知った時から」三年です。原則として事故発生時から、後遺障害が残存した場合は症状が固定した時からとなります。ひき逃げのような場合は、加害者が判明してからになります。

なお、自動車保険の保険請求にも時効があるので注意が必要です。

■賠償金の算定基準

三つの算定基準があります。-「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士会基準」

自動車保険のしくみ

車の持ち主が必ず加入しなければならない自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)と、各保険会社が販売していて加入するかどうかは自由な任意加入の自動車保険があります。

■自賠責保険ー人身事故のみ

自動車損害賠償保障法に基づいて、あくまで人身事故の被害者を救済するために作られました。被害者の最低限の補償を確保する保険です(物損事故には対応しません)。示談成立前の仮渡金などの制度もあります。

矯正保険なので、未加入で運転した場合には、一年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

■任意保険ー人身事故・物損事故

人身事故から物損事故まで、契約の内容に応じて様々な補償をします。ほとんどの場合、示談交渉時点では示談代行を行い、訴訟に至っては加害者の代理人として弁護士を選任し対応します。

交通事故で相手が死亡したり思い障害が残った場合など、多額の賠償責任が生じた時に、自賠責保険で賠償しきれない部分を保障することができます。

■損害賠償と保険

交通事故の損害賠償金は、次のような順を追って支払われます。

①自賠責保険から支払われる

②自賠責で不足する部分を、任意保険から(契約内容に応じて)支払われる

③自賠責保険+任意保険でもカバーできない部分は、加害者の自己負担となる

■保険金の請求ー加害者請求が原則

保険金は、示談が成立して加害者が被害者側に賠償金を支払った後、加害者が保険会社に請求するのが原則です(加害者請求※保険金は加害者の損害賠償の支出を補填するものなので)。しかし、示談交渉がまとまらすなかなか賠償金を受け取れない、ケガの治療費など支出がかさんで困る…といった場合には被害者からの請求も認められています(被害者請求)

■保険金請求の時効は三年

保険金請求には時効があり、自賠責保険・任意保険とも三年です。加害者請求では被害者に賠償金を支払った時からになります。被害者請求では原則事故発生時から、後遺症が残った時は症状が固定した時、死亡事故では死亡時からになります。

治療が長引いて請求が遅れる場合は、時効を中断させる手続きを取りましょう。

時効成立後は請求しても支払われないので注意が必要です。

 

被害者の重過失について

■過失相殺による減額

被害者に支払われる賠償額は、必ずしも全損害額とは限りません。被害者に過失があれば、その割合に応じて減額されます(=過失相殺)。

任意保険では、過失割合が細かく設定され、保険金が減額されたり支払わなかったり(免責)することも珍しくありません。

自賠責保険では、被害者救済を目的にしているので、被害者の過失相殺や減額も制限されているのが特徴です。重大な過失があったときにだけ一定の減額がなされます。

■被害者に重大な過失(過失割合70%以上)がある場合のみ減額

自賠責保険では、例えば次のような場合に限り減額されます。

・信号を無視して横断

・道路標識などで明確に横断禁止が表示されているところを横断

・泥酔等で道路上で寝ていた

・信号を無視して交差点に進入し衝突

・正当な理由がなく急停車

・センターラインを越えて衝突

 

自賠責保険の支払い限度額は?

「障害」「後遺障害」「死亡」、それぞれの損害に応じて保険金の支払限度額が決められています。

■傷害事故による損害ー支払限度額 被害者一名につき120万円

<補償対象項目><支払基準>

治療費…診察料、手術料、投薬料、入院料、柔道整復料など

付き添い看護費…医師が看護を認めたもの(12歳以下の子供に対しては許可不要)

諸雑費(入院時)…一日あたり定額(1100円)

通院交通費…通院に要した実費

義肢などの費用…発行に要した必要かつ妥当な実費

文書料…交通事故証明書、印鑑証明書、住民票など

休業補償…原則1日5700円、これ以上の収入減の立証で実額19000円まで

慰謝料…1日あたり4200円で算出、対象日数は被害者の傷害の状態、実治療日数などを勘案して治療期間内で決められる

■後遺障害による損害ー支払限度額 被害者1名につき4000万円~75万円

<体に残った障害の程度(1~14級)に応じての逸失利益や慰謝料>

■死亡事故による損害ー支払限度額 被害者1名につき3000万円

<死亡に至るまでの治療費、葬儀費、逸失利益、慰謝料(被害者本人と遺族に対して)>

※損害賠償がこれらで足りない場合は、任意保険で補うことになります。

自賠責保険は同乗者にも適応できる

■同乗者は何名でも!自賠責保険適用可能

自賠責保険は交通事故に遭った車に同乗していた人(家族も含む)も賠償の対象になります。

加害者の車に同乗していた場合も同じです。

加害者が被害者の損害を賠償しなければならないという原則があるので、例えば「加害者が夫、被害者が妻」というケースでも。不法行為の要件を満たす限り、夫婦間でも当然に損害賠償請求権が成立し、これを行使することができます。被害者たる配偶者(この場合は妻)に他人性が認められる場合には、加害者たる配偶者(夫)の運行供用者責任に基づいて自賠法16条の直接請求権の行使も認められます。

また友人などの同乗者が、飲酒等の危険運転を容認・助長して事故に遭い、負傷した場合も、損害賠償が認められます。(=「無償同乗(好意同乗)」

■「共同不法行為」-複数の自賠責保険への請求

加害車両が複数ある事故の場合、自賠責保険の補償限度額は加害車両の数に応じて増えます。自賠責保険は車両ごとに付保されるものだからです。

例えば、2台の車の衝突事故で双方に過失がある場合に、どちらかの車に同乗していて負傷した人は、両方の車の自賠責保険が使えるので請求できる限度額が2倍の240万円になります。被害者はどちらに損害賠償を請求しても、双方に請求してもかまいません。どちらかがどれだけ負担するかは加害者側の問題(過失割合による)であり、被害者はどちらにしても認められた額の賠償金を受け取ることができます。

※限度額が増えるといっても、大きくなるのは「支払いの枠」であり、あくまで現実に生じた損害しか支払われないことに変わりはありません。

 

自賠責保険は仮払いあり

■「仮渡金」制度

交通事故の場合、損害賠償額が確定して正式に保険金が出るまでに、当面の生活費や治療費などの出費がかさみ、被害者の負担が大きくなる場合が少なくありません。

「仮渡金」」は、示談交渉中でも被害者が請求すれば一時金の前払いをしてもらえる、被害者救済のための仕組みです。

■「仮渡金」の特徴

・加害者側から損害賠償金の支払いを受けていない場合にも請求できる。

・請求は被害者からのみできる(加害者の承諾は不要)。また、請求は1回のみ可能。

・保険金が支払われる時には、既払いの仮渡金を控除した残額が支払われる。

・最終的な確定額より仮渡金の額が大きい場合は、差額を返還しなければならない。

・加害者側に損害賠償責任がないと判断された場合には、返還が必要。

■「仮渡金」の支払基準

死亡の場合ー290万円

障害の場

ー40万円(入院14日以上かつ治療30日以上を要する場合・大腿または下腿の骨折など)

ー20万円(入院14日以上または入院を要し治療30日以上を要する場合・上腕または前腕の骨折など)

ー5万円(治療11日以上を要する場合)

 

自賠責保険の慰謝料

「慰謝料」とは事故により被害者が受けた精神的、肉体的苦痛による損害を賠償するものです。障害に対する慰謝料は、ケガの程度によって精神面および肉体面の苦痛を測り算出されます。

慰謝料の額は定型・定額化されていますが、算定基準は弁護士会、自賠責保険、任意保険のそれぞれで異なります。(後遺障害が残った場合の慰謝料はP120、死亡事故についてはP124参照。)

■自賠責保険の基準

傷害事故の慰謝料は、完治まで一日につき4200円の定額です。

これに治療に要した期間をかけて慰謝料の額を出しますが、治療機関=治療開始から終了までの日数と、実治療日数=実際に治療を受けた日数を2倍した数字と、いずれか少ないほうの日数分に対して支払われます。

<例>治療機関が30日、その間の通院日数が13日の場合

30>26(=13×2)で、少ないほうの26日が算定期間となります。

4200円×26日=109200円が慰謝料金額です。

一か月30日と計算すれば、慰謝料の上限は月に126000円となりますが、必要以上に毎月の通院を重ねていると、治療費だけで傷害事故の支払限度額120万円を超えてしまうことも考えられます。

■整骨院・接骨院への通院

柔道整復師(国家資格)による施術は、自賠責保険が適用されるので、病院・整形外科と同様に慰謝料請求の対象となります。※診断書を出してもらうことはできません。

また、鍼灸や按摩・マッサージ・指圧などの施術では、医師が認めれば実治療日数(2倍計算なし)での慰謝料が認められています。

ただし、保険会社によっては、病院以外の治療院を認めてくれない場合もあります。その場合は病院での許可をもらうか、整骨院・接骨院に直接連絡してみるなどの対応が必要になってくるでしょう。

弁護士会基準の慰謝料について

■慰謝料基準の違い

弁護士会基準とは、裁判所で認定されている相場を定型化して示した基準です。各保険会社によって低めに抑えられている任意保険基準や自賠責基準よりも、高めの設定になっています。保険会社の提示した金額に不服がある場合は交渉してみてもいいでしょう。

また、事故による欠勤が原因で退職を余儀なくされたり顧客を失うなど、社会生活上受ける不利益は治療期間の長短やケガの程度とは比例しないので、個々の事例によってはさらに加算される場合もあります。

■弁護士会基準の慰謝料ー表の見方

入院期間と通院期間によって定額化されており、左表でそれぞれの期間が交差する数字が基準になります。

例えば、入院6カ月と通院3カ月の場合では319~172万円の範囲で請求が出来ます。

 

自賠責保険における治療費の雑費内容

■入院中の雑費は「必要かつ妥当な実費」になります。

■雑費の内容は左記のようなもので、自賠責保険では1日あたり1100円と設定されています。

・パジャマ、タオル、洗面具などの日用品

・医師の指示により摂取した栄養補助食品

・電話代、切手代などの通信費

・新聞、週刊誌、テレビ利用券などの文化費

・家族の通院交通費

※見舞客の接待費用などの間接費用、炊事用具など治療後にも使用価値が残存するもの等の購入費用は入院雑費として認められません。

入院雑費を加害者に請求する際に設定された定額の範囲内での請求は、個々の費用ごとの立証は不要とされているので、領収書の提出は必要ありません。

但し、明らかに一日1100円を超えることが認められた場合は、必要かつ妥当な実費として認められます。

 

自賠責保険の交通費

■通院に要した交通費は原則実費でもらえます

<自家用車による通院費の場合>

1キロ15円程度が認定の基準になります。駐車場の料金も必要に応じて認定されますので、領収書が必要です。高速道路などの有料道路使用の場合も実費が認められます。

<病院が遠距離の場合>

治療上、担当医が他の遠方の医療機関の受診を指示した場合のみ認められますが、自己判断で遠方の病院を指定した場合には交通費が認められません。

<タクシー使用の場合>

傷害の程度や交通の便など、特別な事情がある場合にのみ交通費として認められます。例えば歩けない状態であったり、バスでの通院が不可能である場合など。

認められた場合は、領収書が必要になります。領収書を貰って「通院交通費明細書」に記入することにより、タクシー代は認定されます。

<付き添いの交通費について>

原則として12歳以下の児童の付き添いならばほとんど問題なく認められます。

付き添いの妥当性については事案により個別に判断されますので、保険会社に問い合わせてみましょう。

会社から通勤手当が支給されていて、病院が通勤途中の場所にあり定期券を使用出来る場合の交通費は支給されません。

 

休業損害の補償 ①

交通事故で負傷し、入院や治療のために働けなかった分の損害を賠償請求することができます。解雇されたり退職した場合も、事故によるケガとの因果関係が認められれば、失われた収入を損害として請求できます。

休業しなければ現実に得られたはずの収入として、「休業損害日額×実休業日数」で算出しますが、職種によって異なり、休業損害は被害者自身が証明する必要があります。

■自賠責保険ー1日につき原則5700円

最低限度の損害額が決められています。立証資料により一日の収入が5700円を超えることが明らかな場合は、その実額を基礎収入額とすることができます(ただし、上限19000円)。

■基礎収入額の考え方

<給与所得額>

事故前3カ月間の収入額÷90日×休業日数

※入社直後の場合は、入社時の雇用契約書の金額、または事故前1~2カ月の平均で日額を算出

勤務先からもらう休業損害証明書(源泉徴収添付)をもとに、事故前三ヶ月の総収入(残業代や諸手当を含む)から、一日あたりの休業補償分を出します。

入・通院に使用した有給休暇の日数も、休業扱いになるので請求できます。

長期休業でボーナスの影響がある場合、その分も給与と別に請求できます。(事故前六ヶ月間の賞与、または一年間の賞与から一日当たりの平均を算出する等。)

その場合も「何日間の欠勤(休業)が原因で賞与の金額、または〇〇万円が減額された」ということを示す証明書を会社に発行してもらうといいでしょう。

労災保険から支給があった場合は、その差額分しか請求できません。

 

休業損害の補償 ②

■基礎収入額の考え方

前年度確定申告所得額または賃金センサスの平均賃金額÷365日×休業日数

<事業所得者>

個人事業主や自由業者は、事故前年の所得税申告所得額(年収)から、一日分の収入額を出します。実際の収入がそれよりも多い場合は、帳簿や書類によって証明します。

事業主で、休業期間中に事業自体も休むことになった場合、固定費(店舗等の賃料、従業員給料など)も請求できます。

自由業者で、年収額に大きな変動がある場合は、事故前数年分の収入から計算することもあります。また所得の照明が困難な場合は、「賃金センサス」に基づいて計算します。

<家事従事者>

専業主婦の場合、実際に収入がなくても家事休業分の損害として請求できます。「賃金サンセス」の女子全年齢平均賃金に基づき一日当たりの収入を算出します。ただし、毎日認められるというわけではなく、実治療日数の2倍を限度として認められることもあります。自賠責の基準日額5700円(定額)より、賃金サンセスの一日分の金額が多くなるので、5700円提示のときや、0円のときは専門機関に問い合わせてみるといいでしょう。

パート収入等がある場合は、仕事と家事労働で二重に請求することはできません。「賃金サンセス」と「現実の収入」のいずれか多い方で計算します。

<アルバイト・パートタイマー>

就労期間が長く(一年以上)同じ職場で収入の確実性が高い場合は請求できます。

給与所得者と同様に、事故前三ヶ月の収入に基づいて算出します。

<失業者・学生>

アルバイト収入がある場合を除き、原則として請求することはできませんが、例外として就職先が決まっていた場合など、本来就職して得られるはずだった収入を休業損害として請求できます。

【賃金サンセスー産業計・企業規模計】

厚生労働省が実施している「賃金構造基本統計調査」の結果をとりまとめたものです。

休業損害や後遺障害・死亡時の逸失利益を算定する際、被害者の所得の評価が難しい場合には、このサンセスに基づく平均賃金から計算します。

 

任意保険の種類

任意加入の自動車保険にはさまざまな契約の種類がありますが、その代表的な補償内容は次のとおりです。

■対人賠償保険

人身事故の被害者に対して、死亡・ケガの損害賠償をする。自賠責保険の支払限度額を超えた分を補填します。

■人身傷害補償保険

事故で自分や同乗者が死傷した際に、自分に過失がある場合でも損害の全額が補償されます。相手が保険未加入で、損害賠償について全く支払い能力がない場合でも、自分の保険で損害の回復を図ることができます。

■搭乗者傷害保険

契約車両に乗っていた人(運転者を含む全ての同乗者)が、事故で死傷した場合に支払われます。

■無保険車傷害保険

契約した車に乗車中の人が事故で死亡または後遺障害を被った場合で、加害者が保険未加入などのため十分な損害賠償が受けられないとき、またひき逃げで加害者が特定できないようなときに、その損害を補償してもらえます。

■自損事故保険

単独事故(電柱やガードレールとの衝突、崖から転落など)など、相手に加害責任を問えないような事故で、運転者が死傷した場合に支払われます。

■車両保険

契約した車が、衝突や接触、火災、盗難などによって、破損・喪失などの損害を受けた場合に支払われます。

物損の補償は、任意保険で適用できます。(自賠責保険では対応していません。)

加害者が負傷した場合に、「人身傷害補償保険」や「搭乗者傷害保険」などの契約をしていれば補償してもらえます。

被害者も自分が加入している任意保険の契約内容によって、そちらから補償されるものがあるので、忘れずに確認しましょう。

 

自動車の修理は?

物損についての損害賠償は、対物賠償のある任意保険で対応できます。自賠責保険は適用されませんが、過失のある相手には賠償請求ができます。ただし、物損事故の場合、慰謝料は原則として認められていません。

■補償額は時価

交通事故で壊れた物品は、時価が補償額になります。加入している保険会社に確認してみましょう。

補償額は過失割合に応じて減額されることもあります。

事故で壊れたという証明のためにも、事故現場では車以外に壊れた物品の写真も撮っておくといいでしょう。

自動車

<修理が不可能な場合>全損として事故直前の車の時価(同じ車を買い替えるのに要する費用=交換価格、中古市場での価格)が損害額となります。

<修理が可能な場合>修理代が損害額となります。ただし、修理代が車の時価よりも高いときは、時価が損害額となります。

また、修理しても車両価格が下落(格落ち)する場合には、評価額が認められます。

買い替え・修理期間中の代車料やレッカー車代金、保管費、登録・車庫証明などの費用も計上できます。

■自動車以外の物損

店舗など建造物の破損、その修理費に関わる休車損害、積載荷物の損害補償など。

PCや携帯電話、腕時計、鞄等々、その他の物も、修理が不可能なものは時価で補償。

※衣類や眼鏡(コンタクト含む)など、事故時に身に着けていた物については人身事故の補償範囲とみなされて、自賠責保険で賠償されることがあります。

 

加害者にも保険が使える?

交通事故では、加害者の損害(ケガを負うなど)も生じます。その回復に必要な費用等、保険でカバーできるケースもあります。

■自賠責保険ー「死傷者が被害者」の考え方

被害者の過失がゼロの場合は、たとえ加害者が死傷しても相手の自賠責保険から補償を受けることはできませんが、そのようなケースはまれです。

自賠責保険は事故で死傷した人への救済を目的としています。

事故で双方が死傷した場合には、それぞれが加入している自賠責保険から、過失割合に応じて相手に保険金が支払われることになります。

■任意保険ー自損事故補償

加害者の加入している任意保険の契約内容によっては、加害者に100%の過失が認められる場合でも、保険金が支払われるものがあります。

「自損事故保険」なら、運転者(被保険者)が自らの責任で起こした事故によって死亡したり、傷害または後遺障害を被った場合にも保険金が支払われます。100%の過失で自賠責保険からの補償を受けられない時に有効です。

「人身傷害補償保険」も、運転者の過失分まで含めて実際にかかった損害をすべて補償してもらえますが、「自損事故保険」と補償が重複することから、どちらか一方が付帯されている場合が多いようです。加入している任意保険の契約内容を確認してみましょう。

■労災保険ー通勤中・仕事中の事故

仕事中のケガや病気の治療費、休業中の給与などを支払ってくれるものです。労働者自身の補償に限られるので、相手のケガや物損の賠償はできません。過失割合によって減額されることはありませんが、自賠責保険との間で調整され、重複して損害が補填されることはありません。

 

加害者が保険に入ってなかったら

■「政府補償事業制度」

加害者が自賠責保険に加入していない場合や、ひき逃げや加害者が不明の場合に、自賠責保険とほぼ同額の損害賠償を政府が保証してくれる制度です。

必要書類は保険会社にあるので、自分の加入している保険会社に問い合わせてみましょう。

■被害者自身の任意保険

<搭乗者傷害特約>契約して車に搭乗中の人が自動車事故により死傷した場合に、死亡保険金、後遺障害保険金、重度傷害保険金、医療保険金を定額払いしてくれます。

<人身傷害補償特約>逸失利益や慰謝料も支払われるが、実際の賠償金額ではなく、保険約款で決められた金額になるため、実際の賠償金額よりも低い金額となります。

<無保険車傷害特約>被保険者が人身事故で死亡または後遺障害が認定され、加害者が任意保険に加入していない等の理由で賠償が出来ないときに、加害者に代わって保険会社からその損害は補償されます。

人身傷害補償特約や無保険車傷害特約は、同居の親族にも使える規定を持つ場合が多いので、家族の任意保険も調べてみるといいでしょう。

また、自動車保険以外の生命保険や医療保険などで、事故による死亡やケガの補償が受けられることが多いものです。自分や家族の加入している保険を確認して、支払い対象になるかどうかを調べてみるといいでしょう。

 

弁護士費用特約

■任意保険の「弁護士費用特約」

弁護士、司法書士、行政書士への報酬や訴訟(仲裁・和解・調停)に要する費用を支払うというものです。

交通事故の示談等は保険会社の担当者が代行してくれますが、すべてにおいて交渉してくれるわけではありません。

例えば、被害者に過失が全く認められない事故の場合、被害者は自分の保険を使って示談交渉することができません。(自動車保険は原則、事故相手への賠償に備えるためのものなので、相手への賠償責任が発生しなければ保険は使えないことになります。

つまり、加害者側(保険会社)と直接交渉しなければなりません。

こういう場合に、弁護士に一任できれば大変安心できます。

事故直後から任せることができ、いざというときに顧問弁護士に依頼したかのように安心できます。

■弁護士特約の特徴

・事故直後から利用できる

・家族も同様に利用できる

・保険金の負担額は年間数千円程度

・保険の等級が下がったり、翌年の保険料が上がることもない

弁護士費用特約で負担してもらえるのは、300万円(法律10万円まで)と設定されている任意保険が多いようです。

保険会社が紹介する弁護士でないといけないということはありません。

交通事故外傷と後遺症の知識に詳しい、交通事故の経験が豊かな弁護士に依頼しましょう。

 

自賠責保険がダメ!

■「無責事故」とは「100%被害者の責任で発生した事故」のこと

自賠責保険は対人賠償を補償することを目的とするものです。無責事故の場合には、被害者への賠償責任がなくなるため、相手車両の自賠責保険から賠償金は支払われません。

任意保険に加入している場合には、自損事故保険金の対象となります。

■「無責事故」の要因

無責事故の例としては、死傷した運転者が、信号無視で衝突事故を起こした場合、わき見運転によって停止中の車に追突した場合など、また、電柱などに自ら衝突した単独事故に相当します。

しかし、車同士の交通事故なら、少なからず双方に過失があることが多く、片方が全く過失がないということはほとんどありえません。

無責事故とされてしまった中にも、被害者が死亡したり意識が回復しない場合など、訴えることが出来ないため、相手順の言い分だけで、事故が被害者の一方的な過失として扱われてしまうケースがあるようです。死亡事故で無責事故として自賠責保険が適用されなかった事故例は、普通の傷害事故に比べて統計的にも多く報告されているといいます。